利用制限はあるものの、図書館が再び開館し、嬉しい限り。
再び私の読書生活が始まり、面白い本に出会えました。
木内昇著「万波を翔る」です。
主人公は幕末の外交官、田辺太一
私が知っている幕臣といえば勝海舟、小栗忠順くらい。
田辺太一は実在した幕末に活躍した外交官です。
私は高校では世界史を選択したので田辺太一のことは本を読んで初めて知りました。
幕末時代の田辺は世の中の攘夷熱が高かったことも逆風となり、外国とうまく交渉をまとめることができず維新で職を辞することにもなりましたが、明治政府からオファーを受け再び外交官に復帰。
外交に不慣れな新政府を指導し、維新の三傑とも言われる大久保利通もサポートしました。
パリ万博の準備のために渡仏した際には渋沢栄一とも交流したようです。
2021年の大河ドラマの主人公は渋沢栄一なので田辺太一も登場するかもしれない♪
実は幕府も頑張っていた
歴史は勝者が綴っていくものなので明治維新というと「平和ボケした役立たずな幕府を地方の士気が高い藩士が倒した」というイメージが植えつけられてしまいましたが、「万波を翔る」を読むと実際は幕府側も頑張っていたのだということが分かります。
200年以上鎖国して浦島太郎状態になった当時の日本には武力で外国を押しのける力はありませんでした。
刀を振り回して戦ったところで、海上から大砲をぶちかまされたらすぐにゲームオーバーですからw
「まずは国を開いて国力をつけた上で外国と対等に渡り合おう」という考えの下、条約を結んで開港した幕府の外交は「弱腰」ではなく「現実的」だったのです。
この現実に目を向けないで闇雲に「攘夷論」を掲げて勝手に外国船を攻撃したり、街中を歩いている無防備な外国人を斬りつけたりする薩摩や長州の藩士の尻拭いをさせられた幕臣もお気の毒。
幕府も幕府で、政府の意向をきちんと国民に周知しなかったことが誤解を生んだのですが。
昔は今の用に記者会見をTV中継することもできないし、ツイッターで自分の意見を伝えることもできないので大変ですねw
2020年の大河ドラマも敗者の側から見た歴史
2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」の主役の明智光秀も主君を討ったことで「卑怯な裏切者」のイメージがついてしまっていますが、主君の織田信長は今の言葉で言うと「ブラック上司」。
推測にしかなりませんが、謀反は致し方なかったのでは?と思います。
私は光秀さんは真面目だし愛妻家だし、好きですけどね~。
先日テレビ朝日の「サンドウィッチマン・芦田愛菜の博士ちゃん」に明智光秀の子孫が登場していて、大河ドラマの配役に納得がいかないと言っていました。
確かに過去に織田信長役を演じたのは江口洋介さん、反町隆史さんなど男前ばかり。
それに引き換え明智光秀役は...なかなか個性的な方ばかり。
これでは視聴者が「信長は部下に裏切られてかわいそう!!」と思ってしまうかもしれません。
「麒麟がくる」の光秀さんは男前な長谷川博己さんで良かったですね。
私は斉藤道山役のモックンのが好みでしたが。
すっかり道山ロスです。
どうでもいいですねww
<まとめ>
500ページ以上あるので読むのに疲れるかもしれませんが、歴史好きな方なら面白く読めると思います。
ところどころにサラリーマンの指南書のような文章が入っているのも、この小説が元々日経新聞で連載されていたからでしょうか?
前向きな終わり方で読後感もいいのでおすすめです!
<あわせて読みたい>
日本人の規律の正しさを世界中に知らしめた「義和団事件」を題材にした作品。
罰則無しに自粛ができる日本人は昔から規律を守れた!
渋沢栄一の西日本版といえば五代友厚です。